生命保険には「貯蓄型」や「掛け捨て型」という種類がありますが、具体的にどのような商品か知っているでしょうか?
貯蓄型は文字通り、貯蓄性がありながら万が一のときの保障も併せ持っているのが特徴です。
そこでこの記事では「貯蓄型」の生命保険の特徴や種類、メリットやデメリットついて詳しく解説します。
貯蓄型保険にはさまざまな商品があります。
自分に合った保険はどんな商品なのかがわかるので、ぜひ最後まで読んで参考にしてみてください!
貯蓄型保険とは
貯蓄型保険とは、「保険」と「貯蓄」の両方の性質を持つ保険商品のことです。
保険料のうち一定額を保障ではなく貯蓄に充てることで、お金を貯める保障部分と貯蓄部分を両立しています。
そのため、掛け捨て型と比べて保険料は割高になりますが、死亡・満期・解約どのケースでも保険金が確実に支払われます。
保険料の払込期間終了後は、解約返戻金の金額が払い込んだ保険料を上回るのが一般的です。
以下、代表的な商品を紹介していきます。
貯蓄型保険の種類
1.終身保険
被保険者が死亡したときに、死亡保険金が受け取れる保険です。
被保険者の一生涯にわたる保障で、いつか必ず死亡保険金が家族に払われます。
終身保険の保険料は、亡くなるまで払い続けるか、「60歳まで」などの一定の年齢や、「20年」などの一定の期間に支払う場合があります。
やむを得ない事情や資金の必要性がある場合、終身保険は一般的に契約から一定期間経過後に解約をすれば解約返戻金として支払われます。
終身保険の保険料は、料率や被保険者の年齢から計算され、契約後は一定の金額になります。若いうちに加入すればするほど、保険料総額が分散されるので1回に支払う保険料が抑えられます。
若いうちはお金がありませんが、早めに加入しておくことで保険料が安くなるのはお得かもしれません。
2.養老保険
生存して満期を迎えたときに、死亡保険金と同じ額が満期保険金として受けとれるタイプの生命保険です。
終身保険と変わらず、死亡保険金は被保険者が死亡したときに支払われます。
たとえば、働いている間は死亡保険金で万が一のときに備え、定年と同時に満期を設定し、老後の生活費を満期保険金でまかなうといった方法を選ぶこともできます。
養老保険は将来に向けた資産形成に活用できる保険です。
3.学資保険
子どもの教育資金づくりのために活用できる保険です。契約者は原則として親、被保険者は子どもです。
保障内容は、子どもの高校や大学の入学時など学費が大きく発生する時期に「入学祝い金」などの名目でまとまったお金を受け取れるというものです。
学資保険は親である契約者が亡くなった場合、その後の保険料の支払いが免除されます。
学資保険の注意点は、契約時の子どもの年齢に制限があることです。保険商品によって何歳までなどと決まっていますので、加入時には確認が必要でしょう。
他の貯蓄型保険と同様に、早く契約をする、すなわち子どもの年齢が低い時に契約をすれば、1回の保険料を安くすることができます。
途中で解約をすれば解約返戻金が受け取れますが、解約時期が早いと払込総額よりも減額されることもあるので注意が必要になります。
加入するときには、保険料を継続して払えるかについても、よく検討する必要があるでしょう。
4.個人年金保険
積み立てた保険料を保険会社が運用し、被保険者が一定の年齢を迎えた時点で給付金を受け取れる保険です。
保険料払込期間中に被保険者が亡くなった場合は、死亡保険金が受け取れます。
年金を受け取る期間によって、3つのタイプに分けられるので解説します。
終身年金
文字通り被保険者が生きている間に年金を受給することができ、被保険者が死亡すると年金の支給も終わります。
年金の受給開始から一定期間が保証期間として設定されている商品が多いです。
保証期間内に被保険者が亡くなった場合は、保証がある残存期間に相当する年金が家族に支払われます。
有期年金
契約時に5年や10年といったように年金を受給する期間が決まっています。
終身年金と同じで、年金の受給開始から一定期間が保証期間として設定されている商品が多いです。
保証期間内に被保険者が亡くなった場合は、保証がある残存期間に相当する年金がが家族に支払われます。
保証期間のない有期年金の場合は、年金を受給する期間に被保険者が死亡すると、そこで年金の受給は終了になります。
確定年金
年金を受給する期間と金額があらかじめ確定しています。
有期年金と同じで年金を受給する期間が定まっていますが、期間中に被保険者が亡くなった場合でも、まだ支払われていない年金が受取人に支払われます。
上記3つのどのタイプも、年金受給開始前に被保険者が亡くなった場合は、死亡保険金が受取人に支払われます。
貯蓄型保険のメリット
1.貯蓄と保障を両立している
貯蓄型保険は、将来のための貯蓄と万が一のときの保障とを両立しています。
貯蓄型保険の大きなメリットの1つに、支払った保険料よりも上回る保険金を受け取れるという点が挙げられます。
契約内容や加入・解約のタイミングによっても違いはありますが、少ない投資で大きなリターンを得ることができる運用手段として活用できる側面があるのです。
特に低金利政策のもとでは、銀行に預金をしていても利息はほとんど期待できません。
そのため、貯蓄型保険は将来のための資産形成の方法の1つとして検討する余地があると言えるのではないでしょうか。
貯蓄型保険は保障機能も併せ持っているため、加入して契約が開始したその時点から万が一のことが起こったときにまとまった保険金を受け取ることができるのが銀行預金との大きな違いです。
万が一のときに備えるという点においては、貯蓄型保険は大きな力を発揮するのではないでしょうか。
自分自身のライフスタイルに合わせて、時には貯蓄として、時には保障として、柔軟に使い分けができるという点が、貯蓄型保険の魅力的なところだといえるでしょう。
2.コツコツと貯蓄することが苦手な人に向いている
保険に加入すると、一定の決まった時期に保険料を支払います。
多くの人が契約者の指定口座から自動的に引き落とされる口座振替を選択しているのではないでしょうか。
「お金を貯めたいけど手元にお金があると、つい使ってしまってなかなか貯められない」という方もいると思います。
貯蓄型保険なら保険料として半強制的に積み立てられるので、計画的に資産を増やすことができます。
長いスパンで計画的にコツコツと一定の金額を貯めていくのは決して容易なことではありません。
お金を貯めることが苦手だという方にとって、一度加入したら半強制的に保険料が引き落とされて積み立てられていくことはメリットのひとつといえるでしょう。
3.契約者貸付制度を利用できる
契約者貸付とは、貯蓄型保険に加入している人が、解約返戻金として将来受け取ることができる一定の範囲内で保険会社からお金を借りられる制度です。
借りられる金額は、保険会社や契約内容によって違ってきますが、解約返戻金の80%程度が上限といわれています。
一般的なキャッシングやカードローンよりも貸付の利率が低く、審査もありません。
たとえば急にお金が必要になったとき、保険を解約して解約返戻金を受け取ろうとします。
ところが解約時期によってはそれまで支払った保険料の払込額より大きく下回ってしまう可能性があります。
契約者貸付であれば、保険契約を継続したまま利用できます。
保険料の払込みを続けることで、満了時には保険金を受け取ることができ、保障もそのまま継続するため、一時的な資金不足に役立つ仕組みです。
ただし、当然お金を借り入れると利息が発生します。
借り入れ期間中に保険金などは支払われる場合は、保険金と借入額と利息が相殺されます。
あくまで、急場をしのぐ一時的な利用にとどめるための方法の一つと考えましょう。
もし保険料の支払いが滞ってしまう時が生じたとしても、解約返戻金の範囲内で保険料を保険会社が立て替え、契約を継続させてくれます。
これを保険料の自動振替貸付といいます。
何らかの事情が生じてお金がどうしても必要になったり、一時的に保険料の支払いができなくなったりしたときに役に立ちます。
貯蓄型保険のデメリット
1.掛け捨て型より保険料が高い
貯蓄型保険は、掛け捨て型保険よりも支払う保険料が高くなります。
なぜなら、貯蓄型保険の保険料には、保障を用意するための費用のほかに、契約者に払い戻すための積立金も含まれているからです。
保障が充実しているからといって、高すぎる保険料を選んでしまうと、支払い続けることができず、保障を得る前に解約をしてしまっては意味がありません。
バランスを考え、決して無理をすることのないように支払う保険料と保障内容を設定することが大切です。
2.早期に解約すると払込額よりも受取額が減ってしまう
貯蓄型保険は、途中で解約した場合に解約返戻金として受け取ることができます。
しかし、早期に解約をしてしまうと払い込んできた保険料の総額よりも受け取る額が減ってしまう可能性があります。
契約する際には、払い込んだ保険料よりも解約返戻金がどのタイミングで上回るのかをよく確認しておきましょう。
加入してからある程度の期間が経過してからでないと、受け取る解約返戻金が払い込んだ保険料を超えることはほとんどないと言っていいでしょう。
3.お金を自由に引き出せない
貯蓄型保険は、資産形成ができる保険ですが、貯金とは違って好きな時に自由にお金を引き出せるというものではありません。
もし契約満了前にどうしても現金が必要になったときは、払い込んできた額よりも解約返戻金として返ってくる額のほうが減ってしまうことを覚悟して解約する。
あるいは、利息を支払って契約者貸付を利用するかのどちらかになります。
保険で積み立てたお金は、好きなときに自由に使えないという点に注意して、貯金とのバランスをとらなければなりません。
4.インフレリスクの可能性がある
貯蓄型保険の中でも、固定金利のタイプについてはインフレリスクがあります。
インフレとは、物価が上昇し、相対的にお金の価値が下がることです。
固定金利の貯蓄型保険は、将来に受け取る保険金額が確定しているので、インフレになってお金の価値が下がってしまった場合は、受け取れる保険金額が減ってしまうのと同じことが起きてしまいます。
インフレが起こると金利が上昇しますので、インフレリスクを回避できる変動金利タイプの保険を活用する方法もあります。
しかし、変動金利タイプの保険にも別のリスクがあるので、どんな種類の貯蓄型保険が良いかはいろいろな角度から検証すべきだといえます。
貯蓄型保険はこんな人におススメ!
これまで紹介してきたことをふまえると、貯蓄型保険は以下のような人におススメです。
- 掛け捨てになるのが嫌な人
- 保険料を無理なく払える人
- 貯蓄と保障を両立させたい人
- 老後の資金を用意したい人
- 子どもの教育資金を確保したい人
- コツコツと貯蓄をするのが苦手な人
- 投資で損をしたくない人
- 大きなリターンを得たい人
貯蓄がしっかり出来ている人や、急な出費にも困っていない人などは向かないかもしれません。
コツコツ貯めることが苦手な人や、保障を得ながら将来のお金を確保したい人にはおススメの保険と言えます。
自分にとって何が優先なのか、何のために貯蓄するのかを十分に考えたうえで、手段としてどの保険を選んだらよいか判断することが大切でしょう。
まとめ:将来のために最適な商品を!
貯蓄型保険について説明してきましたがいかがでしたでしょうか?
この記事で紹介してきた商品はそれぞれ特徴が異なります。自身の目的に合わせた保険を選択できるようにしておくことが大切です。
リスクに備えた保障を受けつつ、将来に向けた貯蓄もできるのが貯蓄型保険の大きなメリットの1つですが、掛け捨て型と比較すると保険料は割高などのデメリットもあるため、必要か不要かは人によって異なります。
また、少子高齢化が進み、老後資金について不安を抱く人も多いなか、資産形成のあり方も注目されています。
よりよい将来を送るためにも、保険の知識を身につけて最適な商品を検討してみてはいかがでしょうか。