保険を解約するとどうなる?解約時のチェックポイントについて徹底解説!

万が一のときのために加入した生命保険。

ところが、何らかの理由で解約することがあるかもしれません。

「保険料の負担が厳しくなった」「まとまったお金が必要になった」など…

生命保険は、契約者が望めばいつでも解約できるものです。

ただし、解約の手続きをするときには、注意しなければならないポイントがあります。

この記事では、保険の解約に関して知っておくべきポイントについて詳しく解説します。

ぜひ最後まで読んで参考にしてみてください。

解約返戻金とは

解約返戻金の種類

生命保険の解約後に返ってくる解約返戻金は、「〇年後に解約したら、〇万円返ってくる」と、一律で決まっているわけではありません。

契約している保険の種類、現在払い込んでいる保険料、契約していた期間などでそれぞれ違います。

解約返戻金には、「従来型」と「低解約返戻金型」「無解約返戻金型」の3つのタイプがあります。

それぞれのタイプの特徴について紹介していきましょう。

従来型

解約返戻金が通常通り支払われるタイプの商品です。

終身保険・養老保険・学資保険・個人年金保険などの多くが、ここに当てはまります。

契約当初の解約返戻金は元本を下回っていますが、契約年数が長くなるにつれ、返金額はゆるやかに増えていきます。

従来型は、生命保険の基本スタイルといえます。

低解約返戻金型

払込が終わるまでの返戻金が、払込済保険料の70%程度に抑えられている商品です。

定期死亡保険や収入保障保険のほかに、一般的な医療保険やがん保険などがあります。

無解約返戻金型

解約返戻金がないタイプの商品です。

定期死亡保険や収入保障保険のほかに、一般的な医療保険や、がん保険などが当てはまります。

解約返戻金がない分、保険料が安くなります。

解約返戻金の返戻率とは?

解約返戻金は、保険を解約したときに返ってくるお金のことですが、解約返戻金と共に考慮しておきたいのが返戻率という考え方です。

返戻率の計算方法

返戻率とは、保険契約を途中解約した場合や、満期を迎えた場合の満期保険金を受け取る金額が、これまでに支払った保険料に対して何%あるのかを示すものです。

通常は百分率(%)で表されます。貯蓄型保険の商品を比較する時に一つの指標となります。

受け取るお金(満期保険金と、お祝い金や一時金の合計)と、払込保険料総額が同じ金額だった場合は、返戻率は100%になります。

支払った保険料よりも多くのお金が受け取れるケースの場合は、返戻率は100%を超えます。

例えば、養老保険において100万円を保険料として支払い、満期保険金が120万円という場合、返戻率は120%となります。

通常、返戻率が100%を越える保険については貯蓄性が高い保険といわれます。

受け取れるお金よりも多くの保険料を支払ってきたケースの場合は、返戻率は100%を下回ります。これが「元本割れ」と言われる現象です。

一方で、掛け捨て型である定期保険の場合は、保険契約満了時=保障終了となるので、満期時の返戻金は0円なので返戻率は0%となります。(その分保険料は安くなります。)

なお、返戻率という言葉は満期時だけでなく、生命保険の途中解約時にも利用されます。

計算式は、以下の通りです。

(返戻率)=(受け取るお金)/(払込保険料総額)×100(%)

返戻率の高い保険を選ぶポイント

多くの人は、低い返戻率の保険よりも、高い返戻率の保険がいいと思うでしょう。

しかし、返戻率が高い保険は、一般的に保険料が高くなりがちです。

返戻率も大事なことですが、あくまでも生命保険です。

「万が一の保障が十分にあるか」「保険料を負担し続けられるのか」などを一番に考えておくことが大切です。

解約時に注意するチェックポイント

解約返戻金の金額を確認する

解約返戻金の金額は、保険会社から毎年送られてくる「契約内容のお知らせ」で確認することができます。

実際に解約するということになれば、正確な金額を知る必要があるので、保険代理店に問い合わせて解約日時点での返戻金額を教えてもらえるはずです。

受け取れる返戻金の額は、解約する日によって支払ってきた保険料よりも少なくなることがあります。

そのため、加入しようと考えている保険の解約返戻金の金額を事前に確認してから、解約するようにしましょう。

解約返戻金は元本を下回ることがある

繰り返しますが、解約時に得られるお金は、元本割れのリスクがあることを認識しておきましょう。

基本的に、保険期間の満了前の段階で解約した場合の払戻率は、100%までいかないことがほとんどです。つまり、支払ってきた保険料の全額が返ってこないことになります。

解約時の払戻率は保険契約の内容次第になりますが、ケースによっては支払ってきた保険料の60~70%程度しか支払われない可能性があります。

契約内容によっては、解約すると金銭面で損をする可能性があることは念頭に置いておきましょう。

解約返戻金に税金が発生することがある

解約返戻金を受け取った場合、税金が発生する場合があります。

一般的に、契約者が保険料を支払って、解約返戻金を受け取るのも契約者自身です。

このケースでは、解約返戻金は「一時所得」という所得とみなされ、所得税・住民税が発生します。

一時所得は次のように計算します。

一時所得  =  収入額  -  収入を得るために支出した金額  -  特別控除額(50万円)

「収入を得るために支出した金額」とは、生命保険の解約返戻金の場合、支払った保険料という意味です。

そのため、元本割れしている場合は税金は発生せず、払込保険料の総額と解約返戻金の差額から、特別控除額の50万円を差し引いて残額がない場合も税金は発生しません。

特別控除額は年間の一時所得のすべてに対して最大50万円です。

たとえば複数の生命保険から解約返戻金を受け取った場合は、すべてを合計したものから50万円を差し引きます。

このような計算ですので、現在の金利水準では、税金が発生するケースは少ないかもしれません。

保障は特約も含めてすべてなくなる

特約のみを解約し、主契約だけを残すということは可能ですが、その逆の主契約を解約し、特約のみを残すということはできません。

主契約を解約すると特約も解約となり、特約の保障も消滅します。

例えば、がん保険や医療保険の主契約を解約すれば、先進医療特約も解約となり、消滅します。先進医療特約のみを残すことはできません。

特約を解約すると特約部分の保険料の負担が不要になりますので、保険料が安くなります。よって、不要だと思われる特約を解約することは、保険料の節約につながります。

また、解約する特約部分に解約返戻金があれば、それを受け取れます。

保険の空白期間に気を付ける

解約するときには、先に新しい保険に加入してから、元の契約を解約しましょう。

先に元の契約を解約してしまうと、保障が全くない空白期間が生じることになってしまいます。

特に子どもがいるのであれば、世帯主に万が一保険金の支払い事由(死亡や入院等)が生じた場合に備えて、保障が亡くなる期間が1日でも発生しないようにしましょう。

新しい保険の加入が承認されるまで時間がかかる場合があります。

加入の承認を受けた日以降が、解約するタイミングとなることに注意しましょう。

同じ条件の保険には一から入り直す必要がある

保険は一度解約してしまうと、同じ条件での加入ができなくなります。

そのため、解約した保険と同じ条件の保険には、一から入り直す必要があります。

保険は加入した時の年齢や払込期間によって保険料が決定します。

同じ保障内容であれば、30歳で加入するよりも40歳で加入した方が保険料は当然高くなってしまいます。

また、再加入の時には新規契約をする時と同じように健康状態の告知をする必要があり、健康状態に問題があった場合は以前と同じ保険への加入を断られてしまう可能性があります。

そのため持病があるなど健康状態に不安がある人は、解約は慎重に行わなければなりません。

健康状態によっては条件が悪くなることがあります。

例えば解約後~再契約までの間に大きな病気をしていたり、再加入の健康状態の告知をする際に「健康状態に問題あり」と判断された場合は保険料が割高になってしまいます。

そのため「健康状態に不安がある」と考えている人にとって大きなリスクと言えます。

契約者貸付を利用したときは差し引かれる

契約者貸付を利用してお金を借りている状態で解約した場合、解約返戻金から借り入れた金額と利息が差し引かれた金額が受け取り金額になります。

解約前に検討すること

保障を減らすことを検討する

解約する理由が保険料の負担がキツイということならば、保障を減らしてみるというのもひとつの選択肢といえます。

たとえば、「特約だけを解約する」あるいは「保険金額を減額する」といった方法で、保障を減らすことで支払う保険料の金額を抑えることが可能になります。

「払済保険」と「延長保険」を検討する

「払済保険」とは、解約返戻金を一時払保険料に充当し保険料の負担をなくす方法です。

ただし、以下の点に注意する必要があります。

  • 解約返戻金がある積立タイプの保険に加入していることが前提
  • 払済保険へ変更すると特約が無くなる
  • 保障額が減額される

「延長保険」とは、解約返戻金を元にして保険金額が同じ定期保険へ変えることです。

ただし、以下の点に注意する必要があります。

  • 終身保険、学資保険など解約返戻金のある保険であることが前提
  • 特約は全て消滅する
  • 保険期間が短くなる

以上のことから、解約返戻金を無駄にしたくない場合は「払済保険」、保障の充実を優先させたい場合は「延長保険」など、何を優先させたいのかをよく検討しましょう。

解約するには?

加入している生命保険を解約するにはどうしたらいいのでしょうか。

解約する方法

①保険代理店へ連絡する

保険代理店の担当者に連絡して解約をしたいと伝えれば、解約に必要な手続き書類を郵送してくれます。

保険代理店や担当者にもよりますが、自宅へ訪問してくれたりするケースもあります。

②保険会社の窓口に行く

保険会社にもよりますが、直接会社へ訪問してその場で解約の手続きができることもあります。その場合は必要な書類などを事前に確認しておきましょう。

③保険会社のコールセンターへ電話する

保険会社のコールセンターへ連絡して解約の手続きを進めることもできます。

コールセンターの電話番号は毎年送られてくる「契約内容のお知らせ」等で確認できます。

コールセンターでの解約手続きの流れ

保険会社のコールセンターに電話をかけると、音声ガイダンスが流れるので、指示通りに進めれば解約手続きをすることができます。

加入している保険の証券番号、本人確認のために生年月日などを聞かれます。

コールセンターでの解約手続きは必ず本人がするようにしましょう。

解約手続きに必要な書類

一般的には、解約請求書と保険証券が必要となります。

解約請求書は解約の申し出をしたときに保険会社から受け取って記入する書類です。

請求書に契約印を捺印する場合もあるので、窓口等で手続きをする場合は、印鑑が必要かどうか事前に確認しておくと良いでしょう。

保険証券を紛失してしまった場合は、本人確認のための公的書類(運転免許証やパスポート等のコピー)が必要になります。

その他、契約者が改姓をしている場合や、解約返戻金を契約者本人の銀行口座以外に振り込み希望の場合などは、追加で必要な書類があることも考えられます。

まとめ:解約後に後悔しないように!

この記事では、生命保険の解約について説明してきましたがいかがだったでしょうか。

生命保険の解約手続き自体は簡単に行えます。

ただし、一度解約をしてしまうと、再加入時には保険料が上がる、健康状態によっては加入できないなどのデメリットもあるのが事実です。

解約を考える前に、保険金額の減額や払済保険・延長保険に変更できないかを確認してみることをおススメします。

しかし、実際にいろいろと検討を重ねてみても「どうすれば一番いい解決方法になるのか分からない」という方もいらっしゃるでしょう。

少しでもそのように思われた方は保険相談窓口などに相談してみるのもひとつの方法です。

解約した後で後悔することのないようにしたいですね。