生命保険には「掛け捨て型」や「貯蓄型」という種類がありますが、具体的にどのような商品か知っているでしょうか?
「掛け捨て」という言葉を聞くと、なんとなく損をするというネガティブなイメージを持ちがちです。
しかし本当に損をするのでしょうか?
そこでこの記事では「掛け捨て型」の生命保険の特徴や種類、メリットやデメリットついて詳しく解説します。
掛け捨て型保険といってもさまざまな商品があります。
自分に合った保険はどんな商品なのかがわかるので、ぜひ最後まで読んで参考にしてみてください!
掛け捨て型保険の仕組み
1.掛け捨ての意味
保険に加入したときに支払う保険料は「掛け金」と言われます。
掛け捨て型は文字通り、満期になっても返ってくるお金がない、途中で解約しても返ってくるお金がない保険のことを指します。
つまり掛け金が返ってこないということから「掛け捨て」と言われています。
ただ保険料が返ってこないといっても、決してお金を捨てているわけではありません。
その理由は、保険料は万が一のことが起こったときの保障のために支払うからです。
同じような例では、スマートフォンのサポート料金ではないでしょうか。
スマートフォンが壊れてしまったときに修理してくれるサービスです。
スマートフォンのサポート料金は、通信料金と一緒に支払いますが、利用期間中に壊れなくても、掛け捨てとは言いません。
万が一のことが起こったときのためにサポート料金を支払うことは、保険についても全く同じことが言えます。
だから、お金が返ってこなくても損というわけではないのです。
2.保険料の仕組み
保険に加入したときに支払う保険料には「純保険料」と「付加保険料」の2つが含まれています。
- 「純保険料」・・・万が一のことが起こったときに保障として将来受け取ることができる部分。
- 「付加保険料」・・・人件費、販売手数料、広告宣伝費など、生命保険会社のもろもろの経費に充てられる部分。
一般的に、お店でなにかモノを買うときにも「原価」と「販売コスト」が含まれた金額を支払っているのと同じ仕組みです。
保険の原価にあたる純保険料は、料率や加入者の年齢による死亡率など複雑な計算をもとに算出されています。
この純保険料の部分については、同じ条件の商品であればどの生命保険会社を選んだとしても大きく違いはありません。
ところが、付加保険料にあたる部分については、生命保険会社によって大きく違いがあります。
今はネット型の保険商品が数多くありますが、インターネットで簡単に加入できる商品は、一般の保険会社で販売している商品よりも保険料が安いのが特徴です。
その理由は、インターネットで販売できるため、生命保険会社の営業社員の人件費などがかからないからです。
一方、掛け捨て型は純保険料と付加保険料で構成しているのに対し、貯蓄型はそれに加え貯蓄保険料が追加されています。
この貯蓄保険料部分が、満期を迎えたときの満期保険金や、途中で解約したときに戻ってくる解約返戻金のことです。
つまり、掛け捨て型保険のほうが貯蓄型保険より保険料が安くなるのはこのような仕組みだからです。
3.掛け捨て型保険の特徴
ここまで紹介してきたことをまとめますと、掛け捨て型保険の基本となる特徴は以下の3点です。
- 保険期間が満了したときに、お金を受け取ることができない。
- 保険期間中に解約しても、解約返戻金を受け取ることができない。
- 保険料が貯蓄型保険に比べて安い。
掛け捨て型の死亡保険は、万が一亡くなったときに保障を受けられるのは他の死亡保険と変わりません。
万が一亡くなったときの保障を、少ない保険料で得られるのが掛け捨て型保険の一番の特徴です。
さらに保険の種類によって細かく分類することができますので、次から代表的な商品を紹介します。
掛け捨て型保険の種類
1.定期保険
定期保険は、一定の保険期間を定めており、保険期間中に被保険者が死亡または高度障害状態になったときに死亡保険金が家族に支払われます。
保険期間は、定年までの「65歳まで」というように年齢で決める方法(歳満了)か、「10年」などの一定の年数にする方法(年満了)があります。
保険期間を年齢で決める方法の場合は、保険期間が満了になると契約は終わって更新ができません。
保険期間を一定の年数にする方法の場合は、保険期間が満了になると更新することができます。
更新後の保険料は、料率と更新時の年齢で計算されます。
そのため、保険料は年齢によって上がっていくので同じ保障額にすれば保険料は高くなるでしょう。
それでも同じ保障額として設定した終身保険や養老保険と比べると、貯蓄部分が無いため保険料ははるかに安くなります。
2.収入保障保険
収入保障保険は、被保険者が死亡または高度障害状態になったときに、保険期間中の間は毎月(または1年ごと)一定額の保険金を受け取ることができます。
この保険は家族に毎月の給料のように保険金が支払われるので、安心して生活することができるでしょう。
保険金を一括して受け取ることもできますが、その場合は分割して受け取るよりも総額が少なくなります。
収入保障保険は契約から年数が経つほど保険金額が少なくなります。
なぜなら、30歳で亡くなってしまうケースと50歳で亡くなってしまうケースとでは、家族にとって必要な金額が違うからです。
いつ被保険者が亡くなっても最低の期間は受け取ることができる保険もあるので、家族構成などを考慮して選ぶのが望ましいでしょう。
3.医療保険
医療保険は、病気やケガをしたときの入院や手術費用などの保障を受けられます。
主な保障内容は、入院1日当たりの給付金と手術を受けたときの手術給付金です。
そのほかにも通院や三大疾病、生活習慣病、女性特有の病気への保障などさまざまな保障があります。
保険期間をあらかじめ定めた定期型と、生涯保障を受けることが出来る終身型とあります。
4.がん保険
がん保険はがんにり患した際に特化された保険です。
がんの手術費用や治療費用が保障内容になります。
医療保険と同じく、がん保険も保険期間をあらかじめ定めた定期型と、生涯保障を受けることが出来る終身型とあります。
掛け捨て型保険のメリット
1.保険料を安く抑えることができる
貯蓄型保険と比べて掛け捨て型の保険料が安くなるのは、貯蓄部分がないためです。
万が一のことが起こったときのみ保険金が支払われるので、何も起こらなければ保険料は返ってきません。
そのため、保険料の負担を少しでも軽くして手厚い保障を得たい人には向いています。
2.手厚い保障を受けられる商品数が豊富
掛け捨て型保険は手厚い保障を受けられる商品数が豊富にあります。
多くの商品の中から、自分のライフスタイルに合わせて選ぶことが出来るのはメリットのひとつです。
たとえば子どもがまだ小さいうちは、保障額を厚めに設定する必要があるでしょう。
同じ保障額を貯蓄型保険で設定してしまうと保険料はかなり高くなります。
3.保険の見直しがしやすい
貯蓄型保険は契約期間の途中で解約すると、解約返戻金が払い込み相当額より少なくなり、結果として損をするケースがあります。
しかし掛け捨て型保険は、いつ解約しても損をすることはなく、その都度最適な保障内容の商品を選ぶことができます。
4.保険期間を自由に設定できる
掛け捨て型保険の保険期間は、「歳満了(決まった年齢を満期)」と「年満了(決まった年数を保険期間)」の2種類を自由に設定できます。
年満了を選択すると、更新時には保険料が上がります。
そのため、歳満了を選択すれば更新がないので一定額の支払いで済むことになります。
保険期間もライフプランに合わせて設定することが大切です。
掛け捨て型保険のデメリット
1.満期保険金や解約返戻金がなく支払った保険料は返ってこない
満期保険金や解約返戻金がなく支払った保険料が戻ってこないのは、すでにお伝えしたとおりです。
掛け捨て型保険は、貯蓄部分ではなく保障部分のみに保険料を払い込んでいるので決して無駄になっているわけではありません。
考え方次第ですが、掛け捨てが無駄と感じる人にとってはデメリットになるでしょう。
2.保険期間が一生涯ではない
掛け捨て型保険は、一定期間の保険期間となるため、一生涯の保障ではありません。
もし継続して加入したい場合は、更新するか新たな保険に加入する必要があります。
そのときもし健康上に問題があると、加入のハードルが上がってしまいます。
一生涯にわたる保障を選びたい人にとっては向かないでしょう。
ただし医療保険やがん保険では、一生涯にわたって保障を受けることができる商品もあります。
3.年齢によっては更新ができない
保険期間満了後に更新をしたい場合、年齢によっては更新ができないケースがあるため、注意が必要になります。
4.病気やケガをしなければ保険料が無駄に終わる
たとえば医療保険などは、病気やケガをしなければ無駄に終わります。
その分払い込んだ保険料を貯金しておけばよかったと思う人も少なくありません。
あくまでも万が一のための保険と考えることが必要です。
掛け捨て型保険はこんな人におススメ!
これまで紹介してきたことをふまえると、掛け捨て型保険は以下のような人におススメです。
- 子育て世代で保険料を安くしたい人
- 病気やケガの医療費に備えたい人
- ライフプランに合わせて自由に保険をかけたい人
1.子育て世代で保険料を安くしたい人
小さい子供がいる家庭で、世帯主に万が一のことがあった場合は収入が途絶えてしまいます。
そうすると残された家族の生活費や教育費に困ってしまうのは当然のことです。
厳密には各家庭によって違いますが、平均的なサラリーマンの死亡保障額は4,000~5,000万円必要です。
このような高額な死亡保障額を設定するには掛け捨て保険で備えます。
たとえば、30歳男性が5,000万円の死亡保障額で保険に加入した場合、掛け捨て保険では月額1万円程度の保険料ですが、貯蓄型保険では9万円程度の保険料になってしまいます。
なにかとお金がかかる子育て世代は、掛け捨て型保険を選ぶほうがいいのではないでしょうか。
2.病気やケガの医療費に備えたい人
若い人よりも病気やケガのリスクが高まるのは高齢者の方です。
そのため医療保険は一生涯入り続けることが前提となります。
保険の満期や途中解約を考えることがないので、保険料の安い掛け捨て型を選ぶのは必然でしょう。
同じことはがん保険にも言えます。
3.ライフプランに合わせて自由に保険をかけたい人
掛け捨て型保険は、保険期間を自由に設定することが出来ます。
そのため、ライフプランが変わってもいつでも解約ができるため、将来的に保険の見直しを考えている人におススメです。
必要な保障額を調べてみましょう!
保険を選ぶときに一番考えなければいけないことは「保障がいつまで必要なのか」ということです。
子どもの年齢がまだ小さいうちは残された家族を守らなければならないので、子どもが成人するまでの生活費を計算する必要があります。
一方、子どもがいなかったり、子どもがすでに成人している家庭は、必要な保障額は少なくなります。
子どもの年齢によって必要保障額が変わってくる収入保障保険を選ぶことも選択肢のひとつでしょう。
また、人は生きている限り病気やケガのことを考えなければなりません。
医療保険は一生涯あったほうが安心できますが、貯蓄が十分にあるから大丈夫という人もいるかもしれません。
家族構成なども考慮したうえで、本当に必要な保険だけを選ぶことが大切ではないでしょうか。
まとめ:自分と家族の幸せを見つめなおしてみましょう!
掛け捨て型保険について説明してきましたが、いかがでしたでしょうか?
掛け捨て型保険は貯蓄性がない分、シンプルで分かりやすい保険といえるでしょう。
一概に、掛け捨て型がいいとか貯蓄型がいいとかは判断できません。
加入者の生活環境や考え方によって、何がベストな保険なのかは変わってきます。
最近ではCMで、「毎月の保険料が数百円!」などのお得な商品を紹介していますので、見積りを申し込んで比較してみるのもいいかもしれません。
この記事をきっかけにして、自分と家族の幸せを見つめなおしてみてはいかがでしょうか。