「保険会社から特約をすすめられるけど本当に付けた方がいいの?」
「主契約だけじゃ本当に足りないの?」
このように考えている人も多いのではないでしょうか。
実際のところ、保険は万が一のときだけ必要なので、特約を付けた方がいいか分からない方も多いかもしれません。
また、特約を付けてしまうと、その分保険料の支払額は高くなってしまいます。
この記事では、生命保険と損害保険の代表的な特約について、種類や保障(補償)内容を詳しく解説します。
特約の追加を検討するうえで気を付けたいポイントご紹介しますので、参考にしてみてください!
特約とは?
通常、メインとなる保険のことを「主契約」といいます。
その主契約に任意で付加する特別な約束が「特約」です。
一般的には、主契約が満了になれば同時に特約の保障期間も終了してしまいます。
また、主契約の保障期間が終身であっても、特約は定期であることが多く、更新するときには特約部分の保険料は更新時の年齢のものとなります。
そのため、付加できる特約の保険金額・給付金額をよく確認することが大切です。
特約のメリットとデメリット
それでは、特約を付けるメリットとデメリットを紹介します。
特約のメリット
- 特約を付加することによって、幅広い保障を得られる。
- 保険期間終了後、健康状態にかかわらず、「更新」という形で契約を継続できる。
- 医療保障など各々の保障内容を個々に単独の保険で加入するより、保険料が安い場合がある。
特約のデメリット
- 保障の内容(保険契約の内容)が複雑になりやすい。
- 主契約が消滅してしまうと同時に特約の契約も消滅してしまう。
- 更新のたびに保険料が上がるのが一般的。
特約のメリットやデメリットをしっかりと把握した上で、特約を上手く活用するようにしましょう。
特約を上手に活用するためには、まずはどのような保障が必要かを考えることが大切です。
生命保険の代表的な特約
はじめに生命保険の代表的な特約について紹介します。
保障のタイプ別に代表的な特約を挙げて、それぞれの保障内容や特徴を説明します。
一定期間の死亡保障を厚くする特約
定期保険特約
事前に定められた保障期間内に被保険者が亡くなった場合に、一定額の保険金が支払われる特約です。
保障が一定期間に限られるものの、安い保険料で高額の保険金を受け取れます。
特約として定期保険を付けると、単独で加入するよりも保険金額が少ない分、保険料が安くなる場合があります。
家族定期保険特約
主契約の被保険者の家族(妻など)も付けることができる特約です。
収入保障特約(生活保障特約)
被保険者が亡くなった場合に、契約時に定めた期間まで毎月一定額の保険金が支払われる特約です。
保険金の回数をあらかじめ決めたケースと、契約時に定めた満期まで保険金が支払われるケースがあります。
入院や手術など病気、ケガの治療に備える特約
疾病入院特約
病気により一定期間入院したときに、入院給付金が支払われる特約です。
継続して一定の日数以上入院したときなどの条件によって、1日に支払われる金額があらかじめ設定されていることが多いです。
手術の場合の保障については、手術特約という別の特約として取り扱う生命保険会社もあります。
長期入院特約
病気や不慮の事故で長期に入院したとき、所定の入院給付金が支払われます。
長期の入院日数は、125日以上や180日以上などと定められていますが、保険会社によって異なります。
特定損傷特約
不慮の事故により、骨折、関節脱臼、腱の断裂の治療をしたとき、給付金が支払われます。
退院給付特約
退院時やその後の通院時などにかかる費用が支払われる特約です。
特定の疾病の治療に備える特約
成人病(生活習慣病)入院特約
ガン、脳血管疾患、心疾患、高血圧性疾患、糖尿病のどれかで入院したとき、入院給付金が支払われます。
女性疾病入院特約
女性特有の病気によって手術や入院、通院が必要になったときに手厚い保障が受けられる特約です。
その他の特約
介護特約
寝たきりや認知症によって介護が必要な状態になったときに、一時金や年金が支払われる特約です。
公的介護保険の要介護認定に連動するタイプもあります。
リビング・ニーズ特約
余命6ヶ月以内と診断された方の死亡保険金を、生前に受け取ることができる特約です。
死亡保険加入時にはほとんどの商品で自動的に付加されています。
損害保険の代表的な特約
つぎに損害保険の特約ですが、損害保険の補償も生命保険と同様に、主契約と特約にわけられます。
それぞれの関係やどういった内容の補償なのかを知り、いざというときに必要かつ十分な補償を得られるようにすることが大切です。
ここでは、火災保険と自動車保険を例に見ていきます。
火災保険の特約
火災保険の主契約は、大きく分類すると「火災や落雷、爆発」「台風による風災、水災などの自然災害」「漏水、盗難などの日常生活のアクシデント」の3種の補償をセットにして基本補償としている商品が多くなっています。
とはいえ、住まいの環境を考えると中には不必要な補償もあります。
たとえば、マンションの中・高層階に住んでいるなら、豪雨による床上浸水のリスクは低いため、水災補償は不必要と考えられます。
保険会社により、基本補償の中でも不必要な補償を外せるようにしたものや、当初から基本部分は火災関連の補償だけで、そのほかの補償は必要に応じて付加できる商品もあります。
特約には、住まいへの補償だけでなく、火災が起こったときに必要な費用や、日常生活全体のリスクに備える補償が用意されています。
火災保険の代表的な特約を紹介します。
個人賠償責任特約
日常生活で他人に何らかの損害を与えて損害賠償責任を負ってしまった場合に、賠償金等の費用を補償してくれる特約です。
個人賠償責任特約では、以下のような場合にその賠償金等の費用を補償してもらえます。
- マンションで洗濯機のホースが外れてしまい、階下の部屋を水浸しにしてしまった
- デパートで買い物をしているときに、バックを商品の花瓶にぶつけて壊してしまった
- 子どもがキャッチボールをしているときに他人の家の窓ガラスを割ってしまった
- 結婚式のパーティでワインをこぼし、他の参加者のドレスを汚してしまった
- 散歩をさせていた犬が、通行人にかみつき怪我をさせてしまった
- 自転車で走行していて、歩行者にぶつかって怪我をさせてしまった
個人賠償責任特約は、家族全員が対象になるため、小さな子供が自転車で誰かにケガをさせてしまった時など、目の届かない時に起きた事故にも対処できます。
臨時費用保険金補償特約
火災などの災害・事故に遭った場合、損害を復旧する以外にもいろいろなお金がかかります。
建物を修理する場合の損害復旧以外にかかるもろもろの費用をまかなうための特約です。
類焼損害特約
自分の住居から火事を出して他へ類焼させてしまった場合に、他の住宅や家財(家具・家電・衣類など)に生じた損害を補償するための特約です。
なお、相手の火災保険で補償が行われる場合は、その補償でまかなえない分の損害額のみ、類焼損害特約で補償される点には注意が必要です。
地震火災費用保険金補償特約
地震や噴火またはこれらによる津波を原因とする火災によって、保険の対象が一定の損害を被った場合に支払われる特約です。
家賃補償特約
火災等の事故により、賃貸している建物の家賃収入を得られなくなった場合の損失額を補償するための特約です。
失火見舞費用保険金補償特約
住居から発生した事故により、近隣など第三者の所有物に損害が生じた場合に、見舞金が支払われる特約です。(ただし、煙損害・臭気付着損害を除きます。)
弁護士費用等補償特約
他人によってケガをさせられたり、自宅の建物や家財が損害を受けたりした際は、相手に損害賠償を求めることになります。
その際に弁護士に相談したり、交渉を依頼したりする際の費用を補償してくれるのが弁護士費用等補償特約です。
自動車保険の特約
自動車保険の主契約は、「対人・対物賠償保険」「搭乗者、人身傷害保険」「車両保険」が基本補償となっています。これらの補償は、車の運転には必要不可欠な補償ばかりです。
ただし、車両保険については任意で付け外しができます。
主契約と特約は、保険会社や商品に応じてその中に含まれる補償は異なります。
生活の中で起きそうなリスクを踏まえ、必要な補償は何か、不要な補償はないかを見定めて契約すれば、十分な補償が得られ補償の付け過ぎによる保険料のムダもなくなります。
自動車保険の代表的な特約についてみていきます。
他車運転特約
契約の車以外を借りて運転中に起こしてしまった自動車事故を自分の車の自動車保険を利用し、補償を受ける特約です。
他人の車などを運転する時の事故のリスクに備えることができます。
対物差額修理費用補助特約
対物賠償保険で補償する事故で、相手の車に時価額を超える修理費用が発生した時に補償をする特約です。
自動車保険の対物賠償保険は賠償する金額は時価額までとなっているため、時価額を超える修理費用が発生したときにこの特約があれば相手とのトラブルを防ぐことができます。
運転者限定特約
運転者限定特約とは、だれが運転してもいい状態から運転する人を限定することでリスクを軽減し、保険料を安くすることができる特約です。
家族構成や生活スタイルの変化によって、必要な運転者の範囲を見直すことで保険料を抑えることができる特約です。限定できる種類は下記のようになります。
- 限定なし
- 家族限定
- 本人・配偶者限定
- 本人のみ
限定される範囲が狭められるほど保険料は安くなります。
家族限定の範囲は契約する保険会社に確認しておきましょう。
運転者年齢条件特約
運転者年齢条件特約とは、補償の対象となる運転者の年齢を限定し、保険料を安く抑えることが出来る特約です。
運転者の年齢区分は、保険会社により違いはありますが、概ね下記のように区分されています。
- 全年齢補償
- 21歳以上補償
- 26歳以上補償
- 30歳以上補償
- 35歳以上補償
補償の対象となる運転者の年齢が狭められるほど保険料は安くなります。
ファミリーバイク特約
125cc以下の原付バイクを運転中に事故をおこしてしまった時に相手への損害賠償や自分が負ったケガに対して保険金が支払われる特約です。
ファミリーバイク特約の契約があれば、125ccのバイクでの事故は補償の対象となり、自動車保険の年齢制限にも影響がないのが一般的です。
車内身の回り品特約
車両保険では補償の対象にはならない、車に搭載していた身の回り品に生じた損害に対しての補償する特約です。
代車提供特約
車が事故後、修理または買替えが必要となり、かつ代車を使用することが必要になったときに、代車の手配・提供がうけられる特約です。
免責ゼロ特約
事故により、車両保険を使って契約の車を修理するときに、修理代から免責金額(自己負担金)を差し引いた金額が保険金として支払われる特約です。
免責ゼロ特約を付帯することで、契約期間中1回目の事故に限って免責金額(自己負担分)をゼロ(0円)にすることができます。
地震等による車両全損一時金特約
地震・噴火・津波によって車に損害が発生し、全損となったときに記名被保険者に一時金として50万円が支払われる特約です。
無保険車傷害特約
自動車事故で死亡または後遺障害を負ってしまったものの、相手の車が不明のときや無保険の場合など、相手方から十分な補償を得られないときの特約です。
まとめ:保障(補償)内容をしっかり確認しましょう!
この記事では保険の特約について詳しく説明してきましたがいかがだったでしょうか。
生命保険・損害保険ともにさまざまな種類の特約があり、内容も千差万別です。
社会情勢の変化によっても、人々のニーズに応えるために新たな特約もつぎからつぎへと生まれてきています。
また、同じ名前の特約でも、各保険会社によって保障(補償)内容や給付条件などの細部の点で違いがあったりします。
主契約や特約の種類によっては付加できないケースもありますので、保障(補償)内容をしっかり確認して契約をするのが望ましいでしょう。
保障(補償)を手厚くすればするほど保険料は高くなっていきますので、保険会社の割引も上手に利用し、充実した内容で安く契約できるとよいでしょう。