いま加入している医療保険では、女性特有の疾患に対して手厚く保障されるのか不安だと思っていませんか?
女性には妊娠や出産などといった女性ならではの役割を担っており、そのためさまざまな特有の疾患があります。
女性保険とは、そのようなニーズに応えるために作られたものです。
では、女性保険とはどのような内容なのでしょうか?
保障は一般の医療保険と比べてどう違うのでしょうか?
選ぶ時に注意することはあるのでしょうか?
このような疑問に答えます。
この記事では、女性の年代別に考えられるリスクと、女性保険の内容について詳しく解説します。
ぜひ最後まで読んで参考にしてみてください。
女性特有の疾患とは
女性保険を選ぶ際にポイントとなる「女性特有の疾患」ですが、実は年代によってリスクは大きく異なってきます。
年代ごとのリスクを把握し、それぞれに応じた医療保険への加入が大切です。
ここからは、女性の年代別のリスクについて紹介していきます。
20代:甲状腺がんや妊娠・分娩に伴うリスク
20代の女性に多い疾患リスクは、甲状腺がんと妊娠・分娩に伴うリスクの2つです。
20代は甲状腺がんの罹患率が非常に高いと言われています。
加えて、卵巣に発生する「胚細胞腫瘍・性腺腫瘍」のリスクも高いです。
さらに20代後半になると、出産・分娩の機会が増え、同時にリスクも上がっていくと言えるでしょう。
20代の女性は特に甲状腺がんや卵巣の疾患、出産・分娩リスクが高いのが特徴です。
30代:妊娠・分娩に伴うリスクと子宮筋腫
30代になると、妊娠・分娩に伴うリスクや子宮筋腫などの疾患リスクが増えていきます。
30代は20代よりも年齢を重ねていくことから、妊娠・出産に関するリスクが高まってきます。
年齢が上がっていく出産のリスクとしては、妊娠高血圧症候群があげられます。
いわゆる妊娠中毒症といわれるもので、血圧が上がり母体と赤ちゃん、ともに危険になることがありますので、入院や自宅療養の可能性が高まることになります。
また、30代になると子宮筋腫のリスクが上がります。
子宮筋腫は、不妊や習慣流産の症状も出ることがあり、判明した場合はすぐに適切な治療を受けることが大切です。
40代:乳がん・子宮頸がんなどのリスク
40代になると、乳がんや子宮頸がんなどの女性特有のがんリスクが一気に高まっていきます。
この年代に女性特有のがんが増える原因としては、女性ホルモンのバランスが崩れやすいことです。
若い頃はがん保険に加入してなかったという人も、40を過ぎてから一気に上がるがんリスクに備えて、より最適な保険に切り替えていくのが望ましいでしょう。
50代以降:その他の疾患リスク
50代以降は女性特有の疾患はもちろん、そのほかの疾患リスクも増えていく年代です。
心疾患や脳血管疾患で死亡する人の数が多くなり、40代までにはなかった加齢による疾患リスクが高まってきます。
50代以降になると、女性特有の疾患にプラスして、幅広い疾患のリスクがあるといえるでしょう。
女性保険とは
はじめに女性保険がどのような内容なのかを、できるだけわかりやすく紹介します。
女性特有の疾患への保障が手厚い
女性保険とは、その名のとおり女性専用の保険です。
女性疾患で入院したり治療したりするときの保障が手厚いのが特徴です。
たとえば、入院給付金が日額5,000円の契約の場合、女性疾患で入院すると、入院給付金が上乗せされて合計で日額10,000円受け取れます。
ボーナスがある商品も
ボーナスはすべての保険についているわけではありません。
しかし、お祝い金や生存給付金といったボーナス付きの商品があって、何年かおきに数万円程度のお金が支払われるようになっています。
健康お祝い金は、一定期間(3~5年前後)のあいだ保険を使う病気やケガがないとか、入院日数や回数が基準以内におさまっているなどの条件を満たしたときに受け取れます。
生存給付金は、保険を使ったかどうかに関係なくその時点で生きていれば受け取れます。
しかし、これらは保険会社からのプレゼントではなく、その分の保険料を支払っているので実情は積み立てに近いものといえます。
普通の医療保険との違い
前述したとおり、女性保険と普通の医療保険との違いはただ一つ、女性疾患による入院給付金が上乗せされるということです。
どちらの保険も入院給付金と手術給付金が主な保障で、保障される条件も同じ保険会社の商品であれば変わりはありません。
付加できる主な特約などもほぼ同じです
もし同じ保険会社で「○○医療保険」や「○○医療保険Lady」という商品があったら、基本となる保障内容はほぼ同じだと思っていいでしょう。
加入時に注意するポイント
女性向けの医療保険を選ぶときは、年代別の疾患リスクを考えた上で、家計にとって無理をしない程度の保険料で加入できる商品を探すことが大事です。
ここでは、女性保険の選び方について解説していきます。
自分の希望に適した保険を選択するために、加入時に確認しておきたいチェックポイントについてまとめました。
毎月の負担額と安心のバランス
女性特有の疾患は、ほかの病気と同じように保険証を使った治療を受ける限り、「高額療養費制度」の適用を受けることができます。
「高額療養費制度」とは、医療費が高額になった場合に、一部を払い戻してくれる制度です。
医療費が自己負担限度額を超えた場合に、申請することで、超過分の金額が戻ってきます。
負担の上限額は年齢や所得に応じて定められており、いくつかの条件を満たすことにより、負担をさらに軽減するしくみも設けられています。
そのため、支払う保険料によっては必ずしも女性保険に入る必要はありません。
毎月支払う保険料の負担額と、いざというときの安心とのバランスをとりながら選んだほうが良いでしょう。
カバーされる保障内容
女性特有の疾患やトラブルに対する保障は、保険会社・商品ごとに決まっています。
おおよその傾向は似ていますが、各社共通の定義があるわけではありませんので、「女性専用」と謳っていれば必ずすべての女性疾患が保障されるとは限りません。
この点がやや難しいと感じることがあるでしょう。
たとえば乳房や子宮に関わる病気、また妊娠、出産に関わる異常などは多くの女性専用の保険で女性疾患に含まれます。
しかし一方で、関節リウマチや甲状腺のなどの病気は含まれないとする保険もあり、各社で対応が違ってきます。
また一部の女性保険は、がんについては部位を問わずにすべて女性疾患に含むものがある一方で、乳がんなどいわゆる女性特有のがんを保障対象とし、それ以外のがんは対象外とする保険もあります。
さらに、乳がんなどで手術をした場合、保険商品によっては、手術給付金が支払われるものと、細かな治療方法によって給付対象から外れるものと判断が分かれることがあります。
保険を検討するときには、それぞれの女性専用保険で対象になる病気やトラブルの範囲を確認して、何が保障に含まれ何が含まれないのかを把握しておきたいところです。
給付タイプ
女性向け医療保険の入院給付金で支払われる金額は、ほとんどが入院1日あたりいくらといったものが一般的です。
あくまで、病気の治療を目的にした入院に対して支払われるもので、検査のための入院では支払われないことを覚えておきましょう。
手術給付金で支払われる金額は、手術ごとに給付倍率が10倍・20倍と決まるタイプと、入院ごとに給付倍率が決まるタイプなどがあります。
基本的には、手術給付金は該当する手術をすれば何度でももらえるものです。
ある手術をして数年後に違う手術で入院したときにも、その都度、手術給付金はもらえます。
定期型か終身型か
女性保険にも細かなニーズに応えるために保障期間が決まっている「定期型」、一生保障が継続する「終身型」の2種類があります。
どのような医療保険でも、申込み時には健康状態を告知する義務があります。
保険会社によっては、一度病気になってしまったり持病を抱えたりしたときは、希望の保険が契約できなかったり、保障条件が変わることがあります。
「定期型」は、期間限定で手厚い保障がほしいケースや、ある程度の余裕資金が貯まるまでの利用などに向いている商品で、保障期間は1年、10年、15年などがあります。
保険料は低めですが、更新する度に金額が上がっていくのが一般的ですので、計画的な利用がおすすめです。
「終身型」は、生きている限り保障が継続します。
一度契約してしまえば、年齢が上がっていって病気になっても、一生涯保障を受け続けることが可能です。
保険料が常に定額であるのも、終身型の大きなメリットです。
一般的に、定期型の保険に入るときは、大きな病気にかかっていなくても更新時に保険料が上がっていきます。
加入したときは安い保険料だったけど、だんだん高くなり支払いが負担になるケースは珍しくありません。
終身型であれば一定額の保険料がそのまま継続するため、負担額が上がることはないので、ライフプランが立てやすくなります。
死亡保障は必要か
性別にかかわらず、生計を支えている人は、十分な貯蓄がある場合を除いて、死亡保障を確保しておいた方がいいでしょう。
女性向け医療保険とは別に、死亡保険に加入して万が一に備える方法も検討してみましょう。
医療保険とのバランス
女性専用の保険には大きく2つの仕組みがあります。
ひとつは一般の医療保険・がん保険に女性特有の疾患への保障を追加して販売されているもの。
もうひとつは全体的に一般的な医療保険・がん保険と異なる保障内容がセットされているものがあります。
たとえば一般向けの医療保険では、がんなど特定の病気への保障は充実させているものです。
ところが、女性専用の医療保険では女性疾患への保障が手厚い反面、その他の特定の病気への手厚さがないような場合もあります。
すでに医療保険に加入していて、追加で女性保険に加入しようというときは、保障内容が重複してしまう可能性があります。
加入する前に、保障内容をしっかりと確認しておきましょう。
年代別の選び方
20~30代の独身女性
この年代は罹患率は低いですが、万一罹患した場合の医療費や収入減少に備えて、コスパの良い掛け捨て型がおすすめです。
将来の妊娠・分娩に伴うリスク、また不妊治療などへ備えるためにも、若いうちから女性保険で備えておきましょう。
30~50代の既婚女性
乳がんなど、女性特有のさまざまな疾患のリスクが高まってくる年代です。
出産と育児で出費がかさみますが、教育費や老後資金のために貯蓄を取り崩すことはなるべく控えたい時期でもあります。
罹患による世帯全体の収入減に備えて、一時金や死亡・高度障害保障があると安心です。
子どもが経済的に独立する年齢になったら、収入より治療の保障を重視するように優先順位をシフトしていくとよいでしょう。
50代以降の単身女性
基本的に死亡保障の必要性は低いので、老後資金とは別に医療費の備えとして保障を考えましょう。
定年を迎えるまでは、収入の減少に備えて一時金を充実させておくと安心です。
定年退職後から高齢になるにつれ、女性疾患以外にもさまざまな病気やケガのリスクが高まります。
しかし、高齢になってくると年齢と所得によっては医療費の負担額が下がることも予測されます。
そのため、公的保障で不足する分だけを補うように保障内容・保険期間を見直しすることをおすすめします。
まとめ:ライフプランに合わせた備えを!
この記事では、女性保険について詳しく解説してきましたがいかがだったでしょうか。
女性保険は、女性特有の疾患のときに入院給付金が多く受け取れる医療保険です。
女性にとっては非常にメリットのある保険ですが、その代わり保険料が少し割高になっています。
また、普通の医療保険でも女性特有の疾患が保障されることを理解しておきましょう。
そのため、
「自分にとって女性疾患の保障が多く必要なのかどうか」
「一般の保険と比べて女性保険に有利な点があるかどうか」
しっかりと検討して、加入を決める必要があります。
また、毎月の経済的負担と将来への備えとのバランス感を忘れずに。
これからのライフプランと相談しながら、自分にあった商品を見つけてみてください。