「保険金を請求するような事態が起きたらどうしたらいいんだろう?」
「どんな書類を用意しなければいけないのだろうか?」
このように保険金を請求するときは、誰もが頭が混乱しているときではないでしょうか。
せっかく保険に加入したのであれば、保険金は確実に満額を受け取りたいですよね。
いざというときに慌てないためにも、保険金の請求については、事前に注意しておかなければいけないことがたくさんあります。
この記事では、保険金を請求をするときの注意点を詳しく解説します。
ぜひ最後まで読んで参考にしてみてください!
保険金請求の一連の流れ
生命保険も損害保険も同様ですが、最優先にしなければならないことは、真っ先に保険会社に連絡をするということです。
保障内容を確認したのち、保険証書に記載されている保険会社の問い合わせ先に連絡をして、請求のために必要な手続きについて確認しましょう。
保険請求の一連の流れは概ね以下のようになります。
①保険会社へ連絡をする
↓
②保険金の請求から受け取りまでの流れを確認する
↓
③保険金請求書類を郵送してもらう
↓
④保険金請求書類に記入する、必要書類を用意する
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⑤保険会社へ書類を提出する
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⑥保険金を受け取る
提出しなければならない書類については、保険会社から送られてくるものと自分で用意するものとあります。
コピーの提出でよいものや、保険会社所定の書式のものもありますので、保険会社から送られてくる手続き書類によく目を通しましょう。
保険金請求の注意点
ここからは、生命保険、損害保険それぞれの具体的な保険金請求の注意点について、詳細に解説していきます。
生命保険の保険金請求の注意点
1.必要書類
必要になる書類は、一般的には以下のようなものになります。
- 保険請求書
- 事故状況報告書(事故の場合)
- 死亡診断書(死亡保険の場合)
- 診断書(医療保険の場合)
- 住民票
- 受取人の本人確認書
死亡保険金請求の場合と医療保険金請求の場合は必要書類が変わってきます。
死亡保険金の場合は受取人の本人確認書類が必要だったりします。
医療保険金の請求に必要な診断書は原則として生命保険会社所定のものを使用します。
医師から診断書を発行してもらうには数千円の費用がかかるので、病院の領収書や診療明細書で代替できるケースもあります。
2.保険金が受け取れないケース
保険は多くの人が少しずつお金を出し合って助け合う制度です。
契約者一人ひとりがリスクに応じた保険料を支払うことで、公平性が保たれます。
保険会社が保険金の支払いに条件や免責を設けたり、加入者に健康状態などの告知を義務づけたりしているのも、公正な保険制度を維持するために必要なことだからです。
そのため、公平性を保たれないと判断されたときは、保険金が支払われないケースも生じます。
保険金が支払われないケースについて見ていきましょう。
2-1「支払事由」に該当しないとき
保険金・給付金は、約款で支払事由が定められています。
同じような内容の保険でも、保険会社や商品によって支払条件が異なることもあります。
そのため、商品ごとに約款をきちんと確認しておくことが大切です。
《入院給付金支払われない場合の例》
- 入院日数が所定の日数に満たない場合
- 入院日数が支払い限度日数を超える場合
- 保障が開始される前に生じた病気や不慮の事故が原因で入院した場合
《手術給付金支払われない場合の例》
- 治療を目的としない手術の場合(検査のための手術、美容整形手術など)
《がん保険の給付金支払われない場合の例》
- 契約後90日以内にがんと診断確定された場合
2-2「免責事由」に該当するとき
免責とは、保険会社が保険金・給付金の支払責任を免れることです。
保険には、このような免責に該当する免責事項が決められています。
《死亡保険金の免責事由の例》
- 被保険者が一定期間内(1年~3年)に自殺したとき
《災害死亡保険金や入院給付金の場合の免責事由の例》
- 被保険者の精神障害や泥酔状態を原因とする事故によるとき
2-3告知義務違反による解除の場合
現在の健康状態、過去の傷病歴、職業などについて事実ではない虚偽の告知をしたなどの「告知義務違反」があった場合は、告知義務違反により契約・特約が解除となり、保険金が受け取れないことがあります。
2-4重大事由による解除、詐欺による取消、不法取得目的による無効の場合
「保険金をだましとる目的で事故を故意に起こした」などの重大事由で契約解除となった場合は当然保険金を受け取ることはできません。
契約の加入に際して詐欺行為があり契約が取消・無効となった場合も同様です。
損害保険の保険金請求の注意点
1.必要書類
損害保険金の請求に必要な書類は、生命保険金の請求と比べて多くなるので注意が必要です。
損害や事故の種類によっても違ってきます。一般的には以下のようなものになります。
- 保険金請求書
- 修理見積書
- 罹災物件写真
- 罹災証明書(管轄の消防署や自治体から取り寄せるもの)
- 事故内容報告書(事故の概略を記載するもの)
- 損害明細書(家財などの損害品などを記載するもの)
- 住民票
損害保険金請求では損害を証明するための書類が、査定のために重要になってきます。
書類を用意するのが大変ですが、保険代理店を通じて契約していれば、代理店がサポートしてくれます。不安があれば代理店に相談してみましょう。
2.事故の調査と保険金額の査定
書類提出を受けて、保険会社では事故の調査を行い、保険金を査定します。
生命保険と違い、損害保険は実際に受けた損害に対してのみ支払いが行わるため、事故の状態や程度によって支払われる保険金が異なります。
たとえば、交通事故の場合では、責任割合(被害者と加害者の落ち度の割合)によって保険金額も変わります。
損害を受けて保険金請求をした場合、損害規模が大きい事故などは保険会社から「損害保険登録鑑定人」と呼ばれる調査員が派遣される場合もあります。
損害保険登録鑑定人は、主に以下の3つの役割を担っています。
- 損害鑑定(自然災害等によって発生した損害額の算定)
- 評価鑑定(住宅などの保険対象となる評価額を設定)
- 事故の原因調査(事故の原因が保険の補償内容でカバーできるかの調査)
3.悪質な「保険金請求代行業者」に注意
損害保険の保険金請求は、修理会社への見積もり依頼や、必要書類を用意する手間、手続き自体が面倒だという人もいるでしょう。
そのため、最近問題になっているのが「保険金請求代行業者」です。
文字通り、保険金の請求申請を代行してくれる業者で、名前だけ見れば便利なサービスと思われがちです。
ところが、悪質な業者も多いので注意が必要です。
たとえば、大型台風の後に修理業者から「台風で壊れた屋根を保険金で修理します。保険会社への申請は当社が代行します」などと持ちかけられるケースがあります。
その業者が、本来支払われるはずの保険金の数十パーセントを代行手数料として取っていくものです。
ひどい業者は、破損箇所を捏造したりするなど、詐欺まがいの行為をすることもあります。
日本損害保険協会では、このような業者が増えていると警告しており、保険金の請求についしては、保険会社に自分で直接連絡することが大切です。
4.保険金が受け取れないケース
たとえば火災保険は建物や家財の損害に対する保険ですが、どんなケースでも保険金が支払われるわけではありません。
火災保険金が支払われないケースは、次のような2つのケースです。
4-1.経年劣化が原因による損害
火災保険は、火災や風水害などの突発的かつ予測不可能な事故を原因とする損害に対して補償するものです。
そのため、経年劣化によって建物や家財が壊れたケースは、補償対象とはなりません。
また、故意に起こされた事故や、重大な過失が原因の場合も、保険金は支払われません。
4-2.火災保険が補償する災害とは別の原因の場合
火災保険契約の補償対象とはちがう災害が原因の損害については、保険金が支払われません。
たとえば地震についての損害は地震保険への加入が必要で、火災保険の対象外だったりします。
4-3.免責金額以下の損害は補償されない
契約において「免責金額」を設定している場合、損害額が免責額を下回ったケースでは、保険金は支払われません。
免責金額とは、損害が発生したときに自己負担する金額のことです。
たとえば、5万円の免責金額を設定している場合、損害額が4万円だったとすれば、免責金額より低い金額のため、保険金は支払われません。
損害額が8万円だった場合は、免責金額の5万円を差し引いた3万円が保険金として支払われます。
保険料を少しでも安くしたいという人は、免責金額を設定することで保険料を抑えることができる仕組みになっています。
4-4.火災保険の保険金が下りない場合の対処法
せっかく保険金の請求をしたにもかかわらず、保険会社から承認されない場合もあります。
請求内容を調査した結果、補償対象ではないと保険会社が判断したか、別の事由により保険金の支払を拒んだり、支払額を減額したりすることもあります。
仮にそうなった場合の解決法についてつぎに紹介します。
4-4-1別の調査人に再鑑定を依頼
損害保険登録鑑定人の判断により、保険金が支払われなかったり保険金額が減額されたりした場合には、その決定理由について必ず確認しましょう。
もしその内容に対して不服だった場合は、別の調査人による再調査を依頼することができます。
別の調査人による再調査の結果、保険金が満額支払われるケースもありますので、調査結果に納得できないのであれば、きちんと再依頼してみましょう。
4-4-2「そんぽADRセンター」に苦情・紛争解決手続きを依頼
「そんぽADRセンター」は、一般社団法人日本損害保険協会の中に設けられている、苦情・紛争に対応する窓口です。
専門の相談員が無料で相談に応じるほか、保険会社との紛争が解決するようサポートをしてくれます。
保険金の請求期限
保険金の請求期限は3年
結論から申し上げますと、保険金の請求期限は3年間です。
これは保険会社が個別で定めているものではなく、保険法で定められている内容です。
保険法原文は以下のとおりです。
保険法第95条(消滅時効)
「保険給付を請求する権利、保険料の返還を請求する権利及び第63条又は第92条に規定する保険料積立金の払戻しを請求する権利は、これらを行使することができる時から3年間行使しないときは、時効によって消滅する」
つまり、事故発生から3年が経過すると、時効となり保険金の請求ができなくなるということです。これは生命保険も損害保険も同じです。
保険金の請求漏れをおこさないために
保険会社は、契約者からの保険金請求でしか支払い事由が発生したことがわかりません。
請求するかしないかというのは契約者次第になります。
たとえば、大型台風で屋根の一部が破損していたとします。
しかし、屋根の破損は、屋根に上がってチェックしなければ分からなく、後になって、天井から雨漏りがするので屋根の破損に気が付いたというケースもあるでしょう。
このようなケースを防ぐためには、以下のような方法があります。
- 保険契約している旨を家族に伝えておく
- 保険契約を含めた財産について、記録、管理しておく
- 保険証券を大切に保管しておく
- 保険会社や保険代理店の連絡先を控えておき、家族に伝えておく
保険は大きな財産なので、契約通りに請求する事を忘れないようにしましょう。
家族にも内容を伝えておくことが大切です。
まとめ:保険金を請求する注意点を把握しておこう!
保険金の請求は、自分がどんな保険に入っているのかを知っていなければできません。
自分ができなければ家族に依頼することになりますし、死亡保険金の場合には、死後に遺された家族が請求することになります。
加入している保険証券や、保険会社から送られてくる書類などは1ヶ所にまとめて保管しておきましょう。
わかりやすい場所に保管しておき、いざというときに自分以外の家族にもすぐにわかるようにしておくことで肝心な時に役に立ちます。
最近は、自然災害なども多く保険請求をする機会がふえるかもしれません。
請求期限は3年間なので、あわてて業者などに依頼せずに自分でよく調べて対処するのが大切です。