子どもの保険、本当に必要なのはどれでしょうか?
子どもの万が一への備えは「病気やケガ」と「他人への損害」について考えなければいけません。
健康保険だけでは不安と感じるなら医療保険が必要。
他人の物を壊したり、他人にケガをさせたりしたら賠償責任保険が必要です。
この記事では、子どもの医療保険と賠償責任保険について必要かどうか解説します。
子ども保険に加入しようか迷っている方は、ぜひ最後まで読んで参考にしてみて下さい。
子どもは医療保険に加入するべき?
先に結論からお伝えしますと、子どもの医療保険の必要性は両親の考え方によって大きく異なります。
一般的に医療保険に入る目的は、公的医療保険でまかなえない分の医療費を備えるために加入するケースが多数です。
ですので、子どもは大人と比べて入院、手術といったリスクが低いこともわかっているため、そもそも医療保険は考えていない人が多いです。
また、子どもは収入の担い手ではないので、基本的に死亡保障額は「ゼロ」と考えてよいでしょう。万が一の場合があっても、蓄えたお金で十分まかなえると想定されます。
一方で、将来的に必要な子どもの教育資金を確保するためであったり、保険料の負担がない医療保険をプレゼントするためであったり、医療費の負担を軽くする以外の目的で加入する人もいます。
そのため、家族環境や子どもの健康状況、両親の考え方によって医療保険に加入する必要性が変わってくるのです。
子どもの医療保険に加入する場合の考え方や注意点は?
公的保険が適用される範囲の入院・治療であれば、子どもにかかる医療費が無料になる自治体は少なくありません。
ただ、対象が小学生までという自治体もあれば、中学生までという自治体や22歳までという自治体もあり、地域によって事情が異なる点に注意が必要です。
住まいの各自治体の制度にもよりますが、あえて医療保険に加入する必要性は低いと考えられます。
ただ、医療費が無料になるといっても、差額ベッド代や先進医療にかかる費用は助成の対象外となる場合が多いです。
それらに不安を感じる人は積極的に医療保険を活用することも考えられます。
また、掛け金が安い都道府県民共済を検討してもいいかもしれません。
基本的に都道府県民共済は掛け金が安く、割戻金も期待できるので、小さな負担で保障を得られます。
子どもに医療保険が不要であると判断できる材料
職場や幼稚園、保育園などの集まりで、「子どもに医療保険はいらない」と聞いたことはありませんか?
そのように言われる理由としては、主に以下の2点が挙げられます。
- 公的医療保険制度や各自治体の助成が充実している
- 学校などを通して共済制度に加入する場合が多い
公的医療保険制度や各自治体の助成が充実している
病院に行く確率が高い0~6歳では、公的医療保険制度のおかげで親の負担額は2割に留まります。
さらに、高額療養費制度によって1カ月の医療費が親の所得に対する上限を超えた場合には、医療費が控除されます。
その他にも、一世帯の1年間にかかった医療費が10万円を超える場合には、医療費控除を受け取れるため、支払った税金の一部が戻ってきます。
また、先に述べた通り、日本国内のほぼすべての都道府県や市区町村の各自治体では、子どもの医療費に対してさまざまな助成が行われています。
各自治体で「こども医療費助成制度」を導入しており、一定の年齢に達するまでは子どもの医療費を無料とすることで、子どもがいる家庭を支援しています。
所得制限があったり、0歳から15歳や22歳までと子どもの支給年齢などの受給要件は自治体によりますが、それぞれの自治体の窓口に申請を行うことで全額助成される自治体も多いです。
そのため、子どもへの支援が充実している地域では、医療保険が不要と考えられます。
ただし、自治体の支援には地域差があり、国からのサポートだけでは経済的に厳しいという家庭もあるでしょう。
教育機関でのケガに備える共済給付制度に加入している場合が多い
子どもは、幼稚園や学校など教育機関での病気やケガについて、「災害共済給付制度」に加入していることが多いです。
共済掛金は、教育機関と保護者の双方で負担します。
幼稚園や学校での病気やケガが保障されていれば十分という人は、他に医療保険は不要であると考えるかもしれません。
不要と判断する場合は、医療保険の保険料を支払う負担額と医療費が発生した場合の負担額とをよく比較して、慎重に検討することが重要です。
子どもに医療保険が必要であると判断できる材料
ここまでは、子どもに医療保険が不要であると言われる理由について紹介してきましたが、だからといって必ずしも子どもに保険が必要ないとも言い切れません。
子どもには医療保険が必要であると判断できるのはどのような場合でしょうか。
元来、民間の医療保険は「健康な時に保険料を払っておき、病気やケガをした際に医療費や生活費の補填となる保険金を受け取る」というものです。
日本は国民皆保険制度が採用されているため、すべての国民が治療を受けられるよう公的医療保険制度によって自己負担額が決められています。
繰り返しになりますが、0~6歳までの子どもの場合は2割の自己負担に留まります。
それでも、民間の医療保険に加入している人が多いのが実態である理由について紹介します。
もしもの出費に備えられる
公的医療保険は、自己負担割合の設定や高額療養費制度などによって、病気やケガをしても一定割合は国が負担してくれます。
しかし、万が一大きな病気やケガをした際に、すぐに国から給付を受け取れるわけではありません。
医療機関からは医療費の支払いを求められれば、いったんはまとまったお金が必要となります。
この時に利用できるのが民間の医療保険です。
民間の医療保険では、入院給付金をはじめ手術給付金、通院給付金などさまざまな保障があり、もしものときの大きな病気やケガが発生した際の医療費をまかなえます。
医療保険が「万が一に備えられる」のは、大人でも子どもでも変わらないメリットといえます。
将来にわたって医療費をカバーできる
子ども向けの医療保険の中には、子どもが成人した時点で保険料の支払いが終わるタイプのものがあります。
この医療保険では、子どもが20歳に達したときにすべての保険料を払い終えるため、子ども自身が保険料を支払わなくても、病気・ケガをしてもなお一生涯にわたって保障を受け取れます。
子どもが親から巣立った後の人生でも、医療費の不安を解消できるのは大きなメリットといえるでしょう。
子どもは賠償責任保険に加入するべき?
つぎに賠償責任保険についてはどう考えればいいでしょうか。
同じようにあくまでも任意の保険なので、加入する義務はありません。
必要性は個々人により考えが異なるでしょう。
ここからは賠償責任保険の加入の必要性について詳しく解説していきます。
個人賠償責任保険とは?
個人賠償責任保険とは、
「子どもが友だちにケガさせてしまった」
「飼っている犬が他人に噛みついてしまった」
など、日常で起こり得るもしものときの事故やトラブルによって損害賠償責任を負った際に、損害を補償する保険です。
実際には自動車保険や火災保険、あるいはクレジットカードなどの特約として付加されることが一般的となっています。
個人賠償責任保険で付けられる補償額は1,000万~1億円など、契約内容によって差が大きいことが特徴です。
そのため、毎月支払わなければならない保険料は、100円~数百円程度までであることがほとんどです。
個人賠償責任保険の補償対象となる事故例・ならない事故例
個人賠償責任保険の補償対象は、保険会社・契約内容によっても異なりますが、基本的にはどこの保険会社もほぼ同じと言えるでしょう。
以下は、代表的な補償対象となる事故例と補償対象とならない事故例です。
補償の対象となる事故例
- 買い物中にカバンがぶつかり陳列棚から商品を落とし、壊してしまった。
- ペットが他人を噛んで怪我をさせてしまった。
- 野球の練習中に、隣家の窓ガラスを壊してしまった。
- ベランダから鉢植えが落ち、通行人や車に傷をつけてしまった。
- 自転車で通行人をはねてしまった。
- マンションの水漏れで下階の部屋が水浸しになってしまった。
- お友達の家に遊びに行った子供が、テレビや家具を壊してしまった。
個人賠償責任保険は、上記のように日常生活で起こり得る事故がおもな補償対象です。
また、子どもだけでなく飼っているペットが起こすようなトラブルも一部補償対象です。
補償の対象とならない事故例
- 故意に怪我や破損を起こした。
- 自動車運転中に人身事故を起こしてしまった。
- 子供が友達とケンカをし、相手に怪我をさせてしまった。
- 友人から預かった・借りたものを壊してしまった。
- ネットの匿名書き込みにより、他人の名誉を傷つけた。
子供が友達とケンカをし、相手に怪我をさせてしまったことはよくあるケースなので注意が必要です。
最近では、事故の件数が増加しており補償対象が拡大している傾向にあるので、事前に保険会社に確認しておくといいでしょう。
重複加入していないかをチェック
個人賠償責任保険は、幅広い損害保険の商品に特約として付けられているようになっているため、すでにほかの損害保険商品にこの特約が付いている人も少なくありません。
既に加入済みの保険で重複加入していないかをいま一度チェックするといいでしょう。
火災保険や自動車保険などに付加されていることが多いですが、子ども向けの共済にオプションとしてつけられているケースもあります。
また、自転車保険に入っていれば個人賠償責任保険が付加されているのが一般的です。
損害賠償額は高額になる傾向に
「子どもがやったことだから」という理由で損害賠償額が少額で済むことはありません。
相手の被害や損害の状況によって賠償額が決定しますが、近年では賠償額が高額になる傾向にあるので、いざ加害者になってしまったときに、貯金などでは対処不可能なケースも大いに考えられます。
個人賠償責任保険の保険金額は数千万~3億円程度が一般的ですが、保険料は高くても月に数百円程度と家計の大きな負担にはならない金額です。
そのため、もし加入するのであればなるべく高額の補償を備えておいたほうがより安心です。
最近は示談交渉サービス付きもある
個人賠償責任保険には、示談交渉サービスが付いているものもあります。
示談交渉サービスは事故を起こしてしまったときに、被害者との示談交渉を代行してくれるサービスです。
相手と自分の認識が違う場合など、もめてしまう前から間に入って交渉してもらうことができます。
直接相手側と慣れない交渉をすることは不安が大きいので、このようなサービスがついたものがあれば、より安心です。
個人賠償責任保険に加入する際に、示談交渉サービスが受けられるかどうかは一つの選択基準となります。
子どもの活動傾向を考慮
家の中で本を読んだりゲームをしたりすることが多い子どもと、運動が好きだったり頻繁に外出したりする活動的な子どものリスクは、完全に同じとはいえないでしょう。
後者の方であれば、幅広い補償の必要性は比較的高くなるのではないでしょうか。
そのため、子どもの性格も踏まえながら加入には検討が必要です。
まとめ:子どもの明るい将来を築きましょう!
今回は、保険が必要であるか否かに加え、医療保険と賠償責任保険を選ぶ際のポイントを紹介してきました。
子どもの万が一への備えは、子ども自身の病気やケガはもちろんですが、他人への損害についても考えなければいけません。
子どもの場合、故意ではなくても場合によっては大きな損害を与えてしまうリスクがあり、そのときの責任は両親に重くのしかかってきます。
子どもの保険への加入は両親の考え方によりますが、上手に活用することで、万が一のときに安心することができます。
すでに加入している保険と内容が重複していないかなどを勘案しながら、検討してみるとよいでしょう。
毎月の家計状況を鑑みながら、保障(補償)と保険料のバランスが取れる保険を選ぶことが大切です。
保険期間と保険金額、受けられる内容など詳細を決めていき、子どもの明るい将来を築いていきましょう。