大腸がんは30代から?若年層に増えるリスクと、知っておきたい備えの考え方

「まだ若いから大丈夫」は思い込み?大腸がん増加の実態

「がんは中高年の病気」というイメージをお持ちではないでしょうか。しかし近年、その常識が大きく揺らいでいます。国立がん研究センターが参加した国際共同研究により、若年層(20〜40歳代)においても大腸がんの罹患率・死亡率が増加していることが明らかになりました。

出展:国立がん研究センター 全国がん登録罹患データ(2023年)

大腸がんは、日本人のがんの中で男女合計の罹患数が最多のがん種です。死亡数で見ると、女性では大腸がんが死因の第1位となっています。罹患率が急増するのは50代以降ですが、30代後半から徐々に増え始めることも統計データで確認されています。

「自分にはまだ関係ない」という油断が、発見を遅らせる最大のリスクになりえます。働き盛りの30〜40代は、結婚・出産・育児・キャリアアップと、人生の重要な局面が重なる時期です。そのかけがえない時間を守るためにも、大腸がんを自分ごととして向き合うことが大切です。

【出典】国立がん研究センター プレスリリース「若年大腸がんと子宮体がんの罹患・死亡の増加を確認 若年発症がんの病態解明の基盤となる国際共同成果」(2025年12月25日)
https://www.ncc.go.jp/jp/information/pr_release/2025/1225/index.html

国立がん研究センター 全国がん登録罹患データ(2021年)
国立がん研究センター 人口動態統計がん死亡データ(2024年)

日本人の5割が持つ”発がん物質”コリバクチン毒素とは

―なぜ日本人や若い世代に大腸がんが多いのか―

その背景として近年注目されているのが、「コリバクチン毒素」という物質です。コリバクチン毒素は、大腸菌などの腸内細菌が産生・分泌する物質で、細胞のDNAを傷つけ、がん化につながる遺伝子変異を引き起こすと言われています。

国立がん研究センターと東京大学医科学研究所が参加した国際共同研究(2025年5月発表)では、日本を含む11の国・地域・981症例の大腸がんを対象に全ゲノム解析を実施。その結果、日本人の大腸がん患者の約5割にこのコリバクチン毒素による特徴的な変異パターンが確認されました。

がんの原因としては喫煙・ウイルス・化学物質・放射線などが知られていますが、コリバクチン毒素はそれらと同等の「発がん物質」として科学的に位置づけられました。若年層の大腸がん増加との関連も示唆されており、今後の予防法・治療法の開発に大きな期待が寄せられています。

だからこそ、今できることとして「定期的な検診」が最大の対策となります。

【出典】国立がん研究センター・東京大学医科学研究所 プレスリリース「国際共同研究により大腸がんの全ゲノム解析を実施し日本人症例を解析 日本人大腸がん患者の5割に特徴的な腸内細菌による発がん要因を発見」(2025年5月21日)
https://www.ncc.go.jp/jp/information/pr_release/2025/0521/index.html

20〜30代こそ受けたい!大腸がん検診の種類と受け方

大腸がんの怖さのひとつは、初期にほとんど自覚症状がないことです。血便などの症状が現れたときには、すでにかなり進行しているケースも少なくありません。だからこそ、症状が出る前の「検診」が命を守る鍵になります。

現在、市区町村が実施する大腸がん検診は40歳以上(全国健康保険協会加入の会社員は35歳以上)が対象で、年1回の便潜血検査(2日間の便採取)が中心です。1回でも陽性と判定されたら、精密検査として大腸内視鏡検査(大腸カメラ)を受けることが強く推奨されています。

大腸内視鏡検査は大腸の内部を直接観察でき、便潜血検査より精度が高い検査です。検査中に大腸ポリープが見つかれば、その場で切除することも可能です。リスクが高いと感じる若年層は、自覚症状がなくても1〜2年に1回のペースで自費による内視鏡検査を検討する価値があります。

早期(リンパ節や遠隔転移がほとんどない初期段階)で発見できた場合の5年生存率は97.3%というデータもあります。早期発見が、治療成績を大きく左右するのです。

⚠️ 5年生存率97.3%は国立がん研究センター 地域がん登録による生存率データ(1993〜2011年診断例)に基づく数値です。現在はより新しいデータが更新されている場合があります。最新情報は国立がん研究センター がん情報サービスでご確認ください。

【出典】国立がん研究センター 地域がん登録による生存率データ(1993〜2011年診断例)
国立がん研究センター がん情報サービス
https://ganjoho.jp/

腸内環境を整える「腸活」で、日々の健康を守る生活習慣

腸内細菌のバランスを整える生活習慣は、健康全般の維持・増進に有効であることは広く知られています。

私たちの腸には、1,000種類・100兆個にも及ぶ腸内細菌が生息しており、善玉菌・悪玉菌・日和見菌の3種類に大別されます。バランスが保たれているときは、ビタミンの合成や代謝の促進など体に有益な働きをしてくれます。しかし栄養の偏りや不規則な生活・過度のストレスが重なると腸内細菌のバランスが乱れ、便秘・下痢・肌荒れ・肥満・生活習慣病・メンタル不調などさまざまな不調につながります。

若い世代は特に、赤肉・加工食品・高脂肪の食事に偏りがちです。腸内環境を守るために、日常生活でできることを取り入れましょう。

  • 食物繊維・オリゴ糖を積極的に摂る(野菜・豆類・海藻・きのこ類など)
  • 発酵食品を日常的に食べる(ヨーグルト・納豆・味噌・ぬか漬けなど)
  • 適度な運動十分な睡眠で腸のリズムを整える

がん予防の特効薬はありませんが、こうした日々の積み重ねが、腸をはじめとした体全体の健康を支えていきます。

万一のときに知っておきたい、治療費と経済的な備えの考え方

大腸がんが見つかった場合、治療には手術・抗がん剤・放射線療法など、複数の方法が組み合わされることがあります。治療の内容や期間によっては、医療費の自己負担額が想定以上になることもあります。

公的医療保険の「高額療養費制度」

公的医療保険の「高額療養費制度」を活用することで、月々の自己負担額には上限が設けられます。ただし、入院中の差額ベッド代・食事代・通院交通費・休職による収入減など、公的制度だけではカバーしきれない費用が生じることも少なくありません。特に若い世代にとっては、治療期間中の家計への影響を事前にイメージしておくことが大切です。

民間のがん保険・医療保険には、こうしたすき間を補う役割があります。どのような保障が自分のライフプランに合っているかは、家族構成・就労状況・貯蓄状況などによって異なります。まずは公的制度の内容を確認したうえで、自分に必要な備えを整理してみることが、落ち着いた判断につながります。

⚠️ 保険の内容・保障範囲・給付条件はご契約の内容によって異なります。詳しくは各保険会社の約款・重要事項説明書をご確認ください。

まとめ:若いうちからの「検診」と「備えの整理」が、大切な人生を守る

大腸がんは、日本人がかかるがんの中で罹患数が最も多いがん種です。かつては中高年の病気と思われていました。しかし、近年は20〜40代の若い世代でも増加傾向にあることが国際共同研究で明らかになっており、決して他人事ではありません。

大腸がんは初期には自覚症状がほとんどないと言われています。そのため、定期的な検診による早期発見が非常に重要です。早期に発見できれば5年生存率は97.3%というデータもあり、「検診を受ける」という行動が命を守る大きな一手となります。

万一の場合に備えて、公的制度の仕組みや自分の家計状況をあらかじめ把握しておくことも、大切です。また、ご加入中のがん保険や医療保険の確認しておくと、いざというときの安心につながります。「まだ若いから大丈夫」という思い込みを手放し、まずは定期検診の予約から始めてみませんか。

このコラムは一般的な健康・医療情報の提供を目的としており、詳細は医療機関等にお問い合わせください。

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